漢方薬の効能と副作用

生理痛の症状には色々なものがありますが、中には生理中便秘になってしまうという人もいます。
この原因は黄体ホルモンに関係している場合や、また血行不良で新陳代謝が低下し、老廃物が溜まりやすい体になるためにおこる場合が多いのですが、このような生理痛の症状を訴える人には「大黄牡丹皮湯」という漢方が多く処方されるようです。

この大黄牡丹皮湯に含まれる「大黄」と「芒硝」は漢方の代表的な緩下薬で、自然にお腹を緩めて便通を良くしたり、熱や炎症を鎮めたりする働きがあります。
更に「牡丹皮」と「桃仁」には血行を良くする効果があり、「冬瓜子」は炎症を鎮めて体の中の老廃物など悪いものを体外へ排出する効果があります。
これらで構成されているため、大黄牡丹皮湯は便秘を伴う生理痛に良いとされているのです。

特に体力があって冷え性でない人に処方されることが多いようです。
ですから逆に体力が著しく低下している人や胃腸の弱い人、下痢気味の人には不向きです。
また稀に食欲不振や吐き気、腹痛、下痢といった副作用がでる場合があるようです。

生理痛といえば下腹部の痛みが代表的ですが、中には頭痛がひどいという人もいます。
これは女性ホルモンのバランスが崩れる為に体が防御反応を示し、「CGRP」という血管拡張物質を出すことで血管が広がり炎症を起こす為と言われています。
このような生理痛から来る頭痛や風邪による頭痛など、様々な頭痛に処方されるのが「川芎茶調散」という漢方です。

川芎茶調散には、その名から分かるとおり「川芎」という主要生薬が配合されており、これが鎮痛効果を始め血行を良くしたり生理不順を調整したりする働きをします。
また「荊芥」「防風」「薄荷」といった生薬も頭痛の原因を発散させますし、「香附子」も生理不順に効果的とされています。
このように、頭痛の緩和には勿論、女性ホルモンの関係する様々な心身の不調にも効果があるため、生理痛で頭痛がひどいという患者に多く処方されているのです。
またこの川芎茶調散はどんな体質の人でも使用できる漢方であることも特徴なのですが、どちらかというとやや冷え性気味の人に良いと言われています。

川芎茶調散にもこれといった副作用はありませんが、やはり甘草を配合していますので、過剰摂取によるむくみや高血圧に注意しましょう。

生理痛は血流の停滞で起こることも多く、そのような状態を漢方では「お血」と言います。
お血は生理痛を始め他の様々な疾患の原因であったりその症状をひどくしたりしますから、お血のみられる患者には血液の循環を良くする漢方薬が処方されます。
中でもお血に処方される代表的な漢方薬が「桃核承気湯」です。

桃核承気湯には血行促進を促す「桃仁」の他に、漢方の代表的な緩下薬である「大黄」「芒硝」が配合されており、便秘解消効果も高いとされています。
その他にのぼせやイライラを発散させる「桂枝」、炎症や痛みを抑える「甘草」なども配合されています。
それで生理痛とそれに伴う不安やイライラ感、腰痛などに効果があり、また便秘や高血圧に伴う肩こり、眩暈などの症状のある子宮の病気にも効果があるため、女性特有の疾患に多く処方されます。
特に肥満体質で体力があり、顔色が良く、のぼせ気味、また便秘がちの人に向いているようです。

桃核承気湯は、上述のように体力のある人向けの漢方ですので、胃腸の弱い人や体力が著しく低下している人には不向きです。
胃痛や食欲不振、吐き気、下痢、腹痛といった副作用が起こる場合があります。
また甘草も配合されているので、大量摂取によるむくみや高血圧にも注意してください。

中医学によると血液の循環の悪さを「お血」また「血虚」と呼び、より詳しく言うとお血を血流停滞、血虚を血流不足とみなします。
そしてこのような血流の異常は生理痛の主な原因である為、生理痛を訴える患者には血液循環の改善を促す漢方薬が処方されます。
その一つが「温経湯」という漢方薬で、血流を良くして体を温める作用を持つ「生姜」や「当帰」また鎮痛効果のある「芍薬」その他水分を保持したり滋養作用を持ったりする様々な生薬が配合されています。

温経湯の主な作用は血行促進と体を温める効果、ホルモンバランスを整えるといったものが挙げられ、他の漢方と同様生理痛に非常に効果が高いのですが、特に冷え性で体力のない女性によく処方されます。
また乾燥した皮膚を潤す働きもあるので、皮膚や唇がかさつく人、例えば霜焼けや指掌角皮症の人にも良いとされています。
また子宮を温める効果もあるため、不妊治療の際に補助的に使用されることもあります。

温経湯の副作用には食欲不振や吐き気、嘔吐、下痢といったものがあるようなので、特に胃腸の弱っている人は気を付けてください。
また「甘草」も配合されていますから、過剰に摂取するとむくみや高血圧を引き起こす可能性もあります。

中医学によって生理痛を分類すると、血液の循環が滞ることで起こる生理痛を「血瘀痛」と言いますが、この血瘀痛をの原因を排除して血液の循環を良くする漢方薬が「桂枝茯苓丸」です。
他に「当帰芍薬散」といった漢方も血行を良くする働きがありますが、当帰芍薬散が体力のない、痩せ型で冷え性の人に処方されるのに対し、桂枝茯苓丸は体格が良く体力があり、顔が火照りやすいタイプの人によく処方されます。

桂枝茯苓丸に配合されている生薬は、発散作用や健胃作用のある「桂枝」の他に、鎮痛効果のある「芍薬」、余分な水分を取り除き気分を落ち着かせる効果のある「茯苓」、血行を良くする「桃仁」「牡丹皮」などです。
血液の循環と熱のバランスを整え、のぼせや冷えの改善に効果があるだけでなく、子宮の炎症を沈め、ホルモンバランスを整える効果もあるため、生理痛を初めとする生理不順や更年期障害、子宮障害などの婦人病によく用いられます。

桂枝茯苓丸の副作用としては、桃仁や牡丹皮の大量摂取による妊婦への悪影響が挙げられます。
妊娠中の場合は医者と相談した上で服用するようにしましょう。

生理痛の主な原因の中に「血行の悪さ」と「冷え」があり、また生理中は特に貧血状態になりやすいこともあって生理痛の痛みにより拍車をかけてしまうようです。
そういった貧血体質や冷え、疲れやすいといった体質の人は、体質改善に「帰芍薬散」という漢方が良いかもしれません。
「帰芍薬散」は生理痛に処方される漢方としては代表的なものです。

帰芍薬散はその名の通り、貧血改善効果のある「当帰」、体を温める「芍薬」の2つが主な生薬で、その他に「蒼朮」「沢瀉」「茯苓」といった生薬を配合しています。
体を温め血行を良くすることで、子宮へ栄養素を送り子宮の収縮を緩和する作用や、ホルモンバランスを整える働きもあるため、生理痛を始め生理不順、不妊症、更年期障害など女性特有の症状に効果が高いとされています。
また胃腸の調子も整えてくれるので、便秘解消にも効果があります。

当帰芍薬散には副作用はほとんどありませんが、稀に胃の不快感や食欲不振、下痢、発疹、かゆみといった症状がでることがあるようです。

生理痛に効く漢方薬は非常に多く、生理痛の原因に応じて様々な種類の漢方が処方されます。
医師や薬剤師に生理痛の症状を説明すれば、自分に合った漢方薬を処方してもらえることでしょう。

生理痛に効くとされる漢方薬の代表的なものといえば、例えば「加味逍遥散」があります。
これは血行を良くする「生姜」、上半身の熱を冷ます「牡丹皮」、鎮痛効果がある「薄荷」「芍薬」、無駄な水分を取り除く「当帰」、滋養作用をもつ「茯苓」などが配合されており、血液の循環を良くしてホルモンの分泌量を調整し、また気持ちを落ち着かせる効果を持ちます。
それで生理痛としては腰痛、腹痛、イライラ感を抑える効果がある他、頭痛や倦怠感、不眠、アレルギー、更には膀胱炎などの下半身の症状にも効果があるとされています。

注意する点としては、配合されている甘草の大量摂取によるむくみや高血圧の可能性、また牡丹皮の大量摂取も妊婦には悪影響を及ぼす可能性もあるとされています。
摂取量はきちんと守るようにしましょう。

生理痛の多くは臓器のどこかに目に見える疾患があるというわけではないので、生理痛を改善するのに西洋医学より漢方に頼りたいという人もいるようです。
確かに漢方薬は全て天然植物や鉱物で構成されているため、化学物質を使った西洋医学の薬より体に優しく安全であるとされています。
しかしだからといって漢方薬に副作用は全くないというわけではありません。
漢方薬は生薬を組み合わせることで副作用を出しにくい仕組みにはなっていますが、摂取しすぎたり体質に合わなかったり、また組み合わせによって副作用がでることもあり得ます。

またかなり時間が経ってから副作用が現れたり、1回の服用では起こらなくても、複数回服用していくうちに現れたりする症状もあります。
例えば「間質性肺炎」という症状は、服用後2~4週間後に現れます。
空咳や発熱、息苦しさといった、風邪に似た症状が出る為、副作用と気付かない場合もあります。
更に、「甘草」という漢方によく配合される生薬には、「偽アルドステロン症」と呼ばれる副作用が生じる可能性があります。
甘草を摂取し過ぎると、カリウムが体外に排出される為に高血圧やむくみといった症状が出るようです。

ですから漢方だから大丈夫と安心しないで、生理痛以外に何か体に異常を感じたなら、直ぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

漢方は生理痛に良く効く種類の物が多いので、生理痛に悩む人は一度試してみることをお勧めします。
漢方専門の病院あるいは漢方を取り入れている病院で受診し処方してもらうこともできますし、漢方薬局店で生理痛の症状を説明して、処方してもらうこともできるでしょう。

漢方の効果を高める為には、飲み方にも注意しましょう。
まず、飲む時には白湯に溶かして飲むのが最も効果的と言われています。
これは煎じ薬に近い状態になるため、薬の吸収が早くなるのだそうです。
しかし飲みにくい時には水でも構いませんし、嘔吐などの症状がある場合には冷やして飲むほうが良い場合もあります。
また、薬によってはお茶や牛乳で飲むと効果が薄れたり逆に効果が強くなったりするのものあるようです。

飲む時間帯としては、基本的には食間、つまり食後2時間位たってからと言われています。
これは空腹時に飲むことで吸収をよくすると共に、摂取した食品との相互作用の可能性を防ぐ為でもあります。
ただし胃腸に負担が掛かる場合には、食後に飲むと良いでしょう。

いずれにしても、処方されたところできちんと説明を受け、その通りにしていれば、その効果を期待することができるでしょう。